期待の新戦力をチェック 2007 NEW COMER FILE 増嶋竜也

masu52007-01-18





ユース世代からの不動のリベロが「成長を考えて」初の甲府移籍



2004年秋、ユース日本代表はマレーシア・アジアユースで3位に入り、翌年のオランダ・ワールドユース出場権を獲得した。増嶋は不動のリベロ、そしてキャプテンとして全試合フル出場を果たしてみせた。そこで大熊監督(元日本代表コーチ)は彼についてこう評していたことがある。
「日本のこの世代のあらゆる選手を見てきたが、彼ほどのリベロポジションをこなせる人材は、見当たらない。戦術眼、組み立て、いずれもレベルが高い。彼の競争相手が出てくることが、この世代のテーマ」
 それから2年以上経つが、言ってみればまだ 彼を超えるタレントは出てきていない。昨年立ち上げられた北京五輪代表(U−22代表)では、増嶋竜也は初陣の中国戦ではストッパーに入りフル出場したが、それ以降は怪我の影響もあり一度も召集されることはなかった。リベロのポジションは、これまでさまざまな選手が担ってきたが、まだ絶対的な人材は出ていない。彼のように最終ラインから的確なパスを出せるタレントは見当たらないのが現状だ。
「初めての移籍となるが、選手としての成長を考え決断した。早くチームに慣れて少しでも甲府に貢献できるように頑張りたい」
 とはいえ、なにかが不足しているから、これまでFC東京で出場機会を得られずにいたことも事実だ。原監督は以前「あいつは気分屋。何でも顔に出ちゃう。もっと平然と構えていかないと」と、メンタルについて指摘していたことがある。確かに増嶋はイメージ的にスマートな選手だと思われがちだが、本来は無骨で実直でとにかく負けん気が強い。そこを改めて磨くには、全くこれまでと環境の違う甲府を選んだことは、正解だったと言えるかもしれない。
 そしてその先、彼が日本に欠かせない武器となっていく可能性は、十分秘めている。


       週刊サッカーダイジェスト No.880 P73より、転記

サッカーダイジェスト編集部 塚越始さん著